名前こそ「ホテル」ですが、中に入ると極めて家庭的な、旅館ぽいというかややもすると民宿ぽくさえある佇まいです。
ちょうど夕食時に訪れてしまい、忙しそうにされている最中、立ち寄り湯の受付をしていただいて入口のすぐ脇にある浴室へ。
宿泊されている方々はもう宴会を始めているとのことで、貸し切りでした。
浴室には、内湯にわりとシンプルなタイル張りの大浴槽が1つ。
だいぶ古びており、ちょっとヤバげな気配さえ漂います。
が、お湯はなかなか。
泉温50度強ほどの源泉が、おそらくは非加熱で掛け流されているもよう。
無色でやや重曹系のにおいがあるほかは強い特徴を感じるものではないですが、浴槽内ではややぬるめで、気持ちのよいお湯です。
と、そんなお湯に浸かっていると、窓かと思っていたところに取っ手が付いているのを発見。
あやうく気づかないところでしたが、その向こうは、露天風呂になっていました。
三角形に近い、かなり狭いスペースにこしらえられ、また周りは柵などに囲まれていて半露天的ではありますが、2人も入ればいっぱいの、できれば1人で占領したいサイズの浴槽は陶器でできていて小さいながらもたいへんに味があり、露天風呂全体は木の風合い、湯口は石、そして陶器の浴槽にはスポットライト的に照明が当たるようになっており、ここだけ圧倒的に良好な雰囲気を醸す空間となっております。
さらに特筆すべきは、ここのお湯。
浴槽の大きさに対して源泉の投入量が多いからか、茶色い湯の花が大量に舞い、体にはあっという間に細かな泡つきが激しく見られます。かなりの鮮度です。
外気温のせいもあってけっこうぬるく、最後に内湯で締めないとお風呂から上がるのがためらわれるほどではありますが、ものすごく気持ちのよいお湯です。
ここのお風呂は、宿も全体的にそうなのですが、デコレートが下手というか、そこらで買ってきたような鉢植えや小物がぼてぼて置かれていて、それらが魅力をスポイルしているような気もするのだけれど、露天風呂はスゴイです。
立ち寄り湯の受付も基本的に9:00〜21:00と長く、そして料金は500円と宿のお風呂にしては実に控え目でありますので、甲府へ来られた折りにはぜひとも訪ねてみていただきたいところと感じました。



■ ホテル吉野 ★★★★☆
山梨県甲府市湯村3-11-14
http://www.yumura.com/ (湯村温泉旅館協同組合ホームページ)